医療への不十分なアクセス、農村部と都市部の生活環境の違い、健康意識の低さなどは、開発途上国の低・中所得者層が直面する大きな課題です。この課題の背景には、医療制度に格差があることが大きな要因となっています。これらの格差は、健康意識の低さと相まって、ケアの連続性を断ち切り、ケアの質を悪化させます。
新型コロナウィルスの感染拡大は、これらのギャップを悪化させ、露呈させました。感染拡大当時は、主に発展途上国の人口のほぼ3分の1が、必要な医療サービスを受けられる場所から2時間以上離れた場所に住んでいました。さらに、人口に対する医療従事者の比率は、WHOが推奨する基準を大きく下回っていました。感染拡大とそれに伴う閉鎖は、交通網をさらに混乱させました。この混乱は、医療システムのギャップをさらに悪化させました。さらに、新型コロナウィルスの感染で医療従事者を失ったことが、状況をさらに悪化させました。
不幸中の幸いは、感染拡大によって、遠隔医療をはじめとするヘルスケア分野でのデジタル技術の導入が加速していることです。デジタル技術は、低中所得者層における疾病への備え、ケアの提供、管理を改善することができます。さらに、プライマリーヘルスケアや公衆衛生を強化し、ギャップを埋め、ケアの継続性を確保し、アクセスを改善することができます。
これには、モバイルアプリとウェブインターフェースを通じて医療従事者にインターフェースを提供することが重要になってきます。ケアの提供と管理を完全にデジタル化するための重要な成功要因について、次の項目で説明したいと思います。